第182章

高橋遥が稲垣七海をあやし終えたのは、もう9時近くだった。

彼女がお風呂に入ろうとしていたとき、上村舞が訪ねてきた。深夜の中、彼女は魂を抜かれたような様子で立っていた。高橋遥は慌てて彼女を中に引き入れ、小声で尋ねた。「どうしたの?こんな夜中に」

上村舞は喉を詰まらせ、

しばらくして、彼女は赤い目で俯きながら言った。「今夜、平澤陽一に会っちゃったの!」

高橋遥は凍りついた。

我に返った彼女は、上村舞をリビングに連れて行き、温かいタオルを絞って彼女の顔を拭いてあげた。

上村舞は高橋遥の袖をきつく掴み、呟くように言った。「高橋遥、伊藤さんが私の過去を知ったらどうしよう。彼が気にするんじゃ...

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